玉露を愉しむには、温度が重要という事をご存知ですか?
『そもそも玉露ってどんなお茶?』
『ポットのお湯じゃダメなの?』
お茶の中でも最上級とされているのが『玉露』です。日本人なら誰もが聞いたことのあるお茶ですが、一般にはあまり浸透していません。
それはなぜか・・・?
高級すぎて、飲める人が少ないからです!
これについては、お茶の生産量を調べてみるとよくわかります。
2018年時点での日本茶生産量は年間9万トン前後です。
平成14年ごろからのデータになりますが、大きな変動はなく横ばいとなっています。
昭和50年は約10.5万トン、その後は減少しましたが平成16年にはまた10万トンを超えました。
引用:お茶を飲もう
日本でのお茶の年間生産量は、約9万トンとなります。そのうち、玉露の生産量はというと・・・
266トンです!
・・・桁が多すぎてよくわかりませんか?パーセンテージでいうと約0.3%です。
日本人の人口で割ってみると、年間に1杯飲めるかどうかという生産量となります。
是非とも一生に一度は飲んでみたいお茶ですね!
どうせ飲むなら、一番おいしい入れ方で飲みたいものです。
今回は、玉露の入れ方と温度について解説していきます!
玉露とは?
私たちが普段飲んでいるお茶は『煎茶』といいます。『玉露』は一体どういうお茶なのでしょうか?
一言で説明すると・・・
太陽を遮って育てたお茶です。
日光に当てないことで口中に広がるトロリとしたうま味、ノドの奥から感じる爽やかな香りを堪能することができます。
玉露と煎茶の違い
私たちが飲んでる煎茶と比較して、もうすこし詳しく玉露について解説します。
テアニン豊富な玉露
玉露は、栽培中に20日間以上日光を遮ります。太陽の光を当てない状態で新芽を育て、その一番茶を丁寧に手摘みした茶葉を使って作ります。
また、通常の煎茶は、かまぼこのような形に茶の木を刈ります。収穫しやすくするためです。
しかし、玉露は自然仕立て!
自由に育て、手摘みするという非常に手間のかかるお茶です。
では、日光を遮ると茶葉にはどのような変化が起こるのか?
テアニン⇒カテキンへの変化を防ぎます。
お茶にはテアニン、カテキン、カフェインという代表的な成分が含まれています。
それぞれの味への影響は・・・
- テアニン:うま味
- カテキン:渋み
- カフェイン:苦み
つまり、日光を遮ることで、テアニンを豊富に含んだ茶葉ができるという事です。
玉露のうま味の秘密はテアニンにありました。
カテキン豊富な煎茶
一方、私たちが普段から飲むお茶は、煎茶といいます。日光をたっぷり浴びており、テアニンはカテキンへと変化しています。
渋みの効いた、さっぱりとした味わいになるわけです。
玉露と煎茶の違いは、日光を当てるか当てないかにより、テアニンが多いかカテキンが多いかという点にあります。
玉露の入れ方は温度が決め手
さて、緑茶にはテアニン、カテキン、カフェインが含まれるということが分かりました。
それぞれの抽出量をコントロールすることで、様々な味わいのお茶を入れることができます。
玉露はうま味を愉しむお茶なので、テアニンを上手く抽出してやる必要があります。
お茶を入れる回数
まずは、お茶を入れる回数です。もったいないからといって、一度使った茶葉で二度目のお茶を入れることがありますよね。
残念ながら、うま味(テアニン)は1回目に入れた時に一番多く抽出されてしまいます。
二回目以降は渋み(カテキン)が多いお茶となります。
そのため、玉露は一回目に入れた時が、一番うま味を味わえます。
お茶を蒸らす時間
続いて、お茶を蒸らす時間です。皆さんは何分間お茶を蒸らしていますか?
うま味(テアニン)が抽出されるピークは2分です。
それ以降はうま味(テアニン)抽出量が減り、渋み(カテキン)だけは抽出されていきます。
渋み(カテキン)を抑えるために、玉露の蒸らし時間は2分以内にしましょう。
お茶を入れる温度
そして、一番重要なのが温度です。
お茶の成分は、以下の温度でピークの抽出量となります。
- テアニン:60℃
- カテキン:70℃
- カフェイン:80℃
80℃でお茶を入れても、テアニンは抽出されます。しかし、カテキンとカフェインも抽出されます。
玉露を飲むなら、できるだけテアニンだけを抽出したいですよね。
そのため、玉露は60℃のお湯で入れてください。
実際にはカフェインもけっこう抽出されてしまいますが、熱い湯で入れるのとは大きな差があります。
60℃のお湯を作るためには、専用の茶器を使います。このような感じのモノです。
ない時は、料理用の温度計でもOKです。
玉露を入れる具体的な手順
玉露のポイントは覚えましたか?低温で2分間です!これらをふまえ、具体的な手順を紹介します。
- スプーン1杯の茶葉を急須に入れる
- 60℃のお湯を30mL注ぐ
- 2分間蒸らす
- 最後の1滴まで湯呑みに注ぐ
お湯の量が意外でしたか?玉露とはこのくらいの量を飲むものです。
ペットボトルの500mLのお茶に慣れていると、少なく感じますね。大切に愉しんでください(^^♪
30mLでも抽出できるタイプの急須が必要になります。
2杯目は、カテキンの抽出量を減らすため、1分間の蒸らし時間で入れましょう。
煎茶の水出しでも旨味たっぷり!
一生に一度は味わってみたい玉露ですが、何かと準備が大変なのも事実です。
普段飲んでいる煎茶でもうま味(テアニン)を効率的に抽出する方法があると便利ですね。
おすすめなのが水出し茶です!
テアニンは低温でも抽出されるという特性があります。カフェインやカテキンはそうもいきません。
そのため、冷蔵庫で冷やした冷水で入れると、煎茶でもうま味(テアニン)豊富なお茶を入れることができます。
ポイントは2点です。
- 多めの茶葉を使う
- 15分ほど冷蔵庫で抽出する
うま味(テアニン)は茶葉の量に比例して、抽出量が増えます。また、冷水だと抽出までに時間がかかります。
これらのポイントを押さえれば、普段飲んでいる煎茶がビックリするほど美味しくなります(^^♪
まとめ
以上、玉露の入れ方は温度が決め手|煎茶の水出しでも旨味たっぷり!の紹介でした!
玉露のうま味は、テアニンという成分によるものでした。テアニンを上手く抽出するには、以下のポイントがあります。
- 60℃のお湯を使う
- 蒸らし時間は2分以内
美味しく玉露を飲みましょう(^^♪